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障害者の雇用問題
【障がい者が働く上での課題と対策】
日本の障がい者雇用の現状
日本では、一定の規模以上の会社は、従業員に占める障がい者の割合(障がい者実雇用率)が法で決められた最低基準(法定雇用率)を満たすよう義務付けられています。しかし実際には、多くの企業がこの最低基準を下回っている状況です。
2023年6月の民間企業の障がい者実雇用率は2.2%と、法定雇用率2.3%を下回っています(厚生労働省発表)。障がい者雇用は年々改善しているものの、まだ課題が多く残されています。
障がい者が就職する際の壁
- 企業の理解不足
障がい者の能力を過小評価したり、コミュニケーション面での不安から雇用に二の足を踏む企業が多くあります。特に重度の障がいのある方の受け入れ体制が不十分な企業が多いのが実情です。 - 職場環境の未整備
障がいの特性に合わせた適切な支援が行き届いていない職場が多数あります。例えば、バリアフリー化が進んでいない、障がい特性に合わせた作業方法への配慮がない、といった具合です。そのため、障がい者が持てる力を十分に発揮できない環境にあります。 - 教育・訓練の機会不足
障がい児の教育を受ける機会が限られているため、十分な教育を受けられない障がい者が多くいます。また、就職に向けた適切な訓練や支援が行き届いていないため、障がい者一人ひとりの能力を最大限に伸ばすチャンスが失われがちです。 - 社会的な偏見
残念ながら、障がいのある人に対する社会の理解は未だ不足しています。障がいを理由に就職や昇進の機会が失われるケースも後をたちません。周囲から障がいを笑われたり、避けられたりする差別的な扱いを受けることもあります。
障がい者へのいじめや差別の実態
障がい者に対するいじめや差別的な行為は、職場や地域社会、インターネット上で依然として起きています。
- 職場でのいじめ(暴言、からかい、仕事の妨害など)
- 障がいを理由とした内定取り消しや解雇
- 障がいのある人を避けたり無視したりする行為
- インターネット上での障がいを馬鹿にする書き込みなど
このようないじめや差別は、障がい者の就労を阻害するだけでなく、その人格やプライドを傷つけ、社会参加を困難にしてしまいます。
障がい者雇用促進に向けた取り組み
一方で、政府をはじめ、企業、NPO団体などは、障がい者が安心して働ける環境づくりに取り組んでいます。
- ハローワークでの就職相談や紹介
- 企業への障がい者雇用の理解促進と支援制度
- 障がい特性に合わせた職場環境の整備支援
- 障がい児の教育の機会拡大と職業訓練の充実
- 障がいに対する正しい知識の啓発活動
このように、制度面や支援策は整備が進められてきましたが、一人ひとりに合った適切な支援が行き届いているとは言えない状況です。
障がい者雇用を進めるためには
障がい者が力を発揮できる職場環境を整備し、一人ひとりの特性に合わせた支援を行うことが重要です。そのためには、障がいへの理解を深め、いじめや差別をなくし、障がい者が活躍できる受け入れ体制を整える必要があります。
企業は障がい者雇用に前向きに取り組み、障がい特性に合わせた合理的配慮を提供することが求められます。一方、行政は支援制度の一層の充実を図り、教育現場から障がい者の自立に向けた適切な指導を行うべきでしょう。
そして何より、一人ひとりが障がいへの理解を深め、障がいのある人の人権と尊厳を守ることが重要です。障がいの有無にかかわらず、誰もが働きがいを持って活躍できる社会を実現することが求められています。
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